2019 バロッサ ヴァレー シラーズ Barossa Valley Shiraz

2019 バロッサ ヴァレー シラーズ Barossa Valley Shiraz

¥4,150
/
税込
「原点に戻ってワイン造りを」-デヴィッド・パウエルの復活

■生産地■
バロッサヴァレー(オーストラリア)

■生産者について■
◆醸造家デヴィッド・パウエル◆ オーストラリアワインの雄「トルブレック」のワインビジネスをゼロから立ち上げた伝説の男、デヴィッド・パウエル。若かりし頃、スコットランドの高地で木こりとして働き、後に故郷の南オーストラリアに帰郷するとピーター・レーマンやロックフォードのようなオーストラリアワインの業界大手で働き、この頃から一年の半分を北半球で過ごし、北イタリアや南仏ローヌで収穫の仕事に従事するようになります。そして90 年代初頭、ワインの過剰供給で樹齢の古いブドウ園を手付かずで放置していた農園主たちに「シェア・ファーミング」の契約を持ちかけ、自らのワイン作りを開始します。この手法でバロッサの地で最も樹齢の古い神聖な古樹から採れるブドウの入手が可能となったパウエルは、このワイン・ブランドにスコットランドで妻と出会った思い出の場所に因んで「トルブレック」と命名。たちまち世界的な評価を得るに至りました。そのワインは、「まるで一方の足を北半球に置きつつ、もう一方の足を南半球に置いているかのようなワイン」と評されました。
◆Powell & Son の誕生◆ 2013 年にトルブレックを去ったパウエルは、2014 年に息子のカラムと共にワイナリーを立ち上げ、パウエル&サンと名付けました。パウエル&サン設立当初よりカラムとデヴィッドが目標の 1 つとしたのがイーデン・ヴァレーを前面に打ち出すことで、この卓越したテロワールの世界的な認知度を高めることでした。イーデン・ヴァレーのユニークな個性を打ち出したリースリングと 2 つのシラーズをリリースしたのもこのためです。バロッサとイーデンに点在する 6 つの単一畑は、この土地の土壌と気候の多様性を雄弁に物語ります。何れのワインも畑に最初にブドウを植樹した初期入植者の農家の名前と畑の所在地であるサブリージョンの名前を冠しています。ワイン造りに対する方向性の違いから、現在、カラムは独自のワイン造りに専念するため独立し、デヴィッドがワイナリーの運営を継続して行っています。そうした経緯に加えて、今後のビジネスをより円滑に進めるため、ワイナリー名を「ネルドナー・ロード」に変更しました。パウエル&サンのラインナップはそのままに今後はラベルのみ順次変更になる予定です。
◆栽培・醸造◆ブドウ栽培は、全て自然環境に配慮し、有機栽培かビオディナミのいずれかを採用しています。剪定から畑の手入れに至るまで全てを自分達の手で行い、毎年 1 年のうち 3 ヶ月間をブドウの剪定に充てています。開放型コンクリートタンクでの発酵、ルモンタージュ、バスケット・プレスを含む酸化作用の促進を促す醸造手法を用い、熟成用の樽は全てフレンチオークを使用。大きめのフードルと小型のバリック、パンチオン(大樽)を組み合わせ、ワインの個性とテロワールの持ち味を引き出しています。フレッシュな果実感と生き生きとした快活な味わい、一切妥協を許さないテロワールの表現。栽培と醸造プロセスにおけるあらゆる選択・決断は、全てこの 2 つのクオリティのバランスを取るという原則に基づいて下されます。
◆ワイン・アドヴォケート#238 号 2018/9/1 掲載記事◆ デヴィッド・パウエルは、1994 年にトルブレックのワインブランドを独力で立ち上げた醸造家だ。2016 年ヴィンテージは、デヴィッドと息子のカラムにとってパウエル&サンの銘柄でリリースする 3 度目のヴィンテージとなる。ブドウ畑の多くは、以前デヴィッドがワイン作りをしていた頃と似たものだが、息子カラムがワインのスタイルに大きな影響を与えたことは疑いようがなく、故にトルブレックのワインとは明らかに異なる。変化自体は微々たるものだが、フィネスで複雑味を引き出すため、樽香の出し方や香味成分の柔らかな抽出方法に更なる緻密さが感じられる。「カラムが加わり、新たな視点をもたらしてくれたことが必要不可欠な要素となった」とパウエルは言う。パウエル&サンのラインナップにおける目玉となるワインは、全く異なる持ち味を持つテロワールから、それぞれに全く個性を異にする味わいを引き出したシュタイナート・シラーズとクレー・シラーズだが、今回リリースされるワインに関しては、どのワインを選んだところで決して間違いはない。

■商品について■
マラナンガ、セッペルツフィールド、リンドック・ヴァレーの畑で育つ平均樹齢 20 年程の若木のシラーズをブレンド。バロッサ・ヴァレーのテロワールを最もピュアに表現した芳醇でスパイシーな味わいは、ステーキや赤身の肉と最高の相性です。
※2017VT コルクキャップ仕様
■テクニカル情報■ 産地:南オーストラリア州バロッサ・ヴァレー(サブリージョン:マラナンガ、セッペルツフィールド、リンドック)
品種:シラーズ 100% Alc:14.5% 平均樹齢:30 年以上 土壌:粘土質の下層土に暗い赤茶色の砂と赤い粘土が連なる
醸造:シラーズは、手摘みして開放型コンクリートタンクで発酵させ、バスケット・プレスで圧搾。フレッシュな果実味を出すため容量4500
Lのフレンチオークのフードルで 15~18 ヶ月熟成させた後、無濾過・無清澄で瓶詰。2019VT 収穫日:2 月 23 日、3 月 15 日
■コメント■ 黒鉛、タール、塩漬け肉、熟れた黒果実を思わせる深みのある香り。口に含むと熟れた果実味を持つフルボディの味わいが感じられ、旨味のあるニュアンスと乾いた塵っぽいタンニンが脇をしっかりと固めている。豊かな黒果実と白胡椒を思わせるスパイスの風味が後味に広がる。今後 15 年間が飲み頃。どんな肉料理とも最高の相性。
2017VT★ジェームズ・サックリング 92 点:ブラックベリーを思わせる真っ直ぐでストレートな果実味を備えたスタイルで、非常に贅沢で親しみやすい味わいを持つ早飲みタイプのワイン。すぐに飲んでも良いが熟成も効く。≪2019/5/16 掲載≫ 他誌評価):★ワインスペクテーター93 点